想い綴り
微かなギターの音色が聞こえて
不意に目に付いた人だかりに足を止めた。
人の肩越しに見えたのは、
小さな体でギターを抱えてる女の子。
夜だってのに、顔を隠すかのようにサングラスかけて。
このクソ寒いのに路上ライブ?
しかも
「………下手すぎ」
声は…
割と
いいのに
ギターのコードめちゃくちゃじゃん。
コレじゃ、聴いたことある曲でさえ、わかんねぇよ。
こんな下手くそで、よく人前で歌えるよな~
なんて、呆れ顔で駅の構内に足を向けようとした時だった。
「やっぱ、ギター難しいわ(笑)
んじゃ、ラストっ!!今日作ったばかりの新曲っ♪」
そんな照れくさそうな明るい声と一緒に聞こえてきたのは…
「…降り注ぐ 太陽
眩しさに瞳を閉じて♪
思いを馳せるのは
遠い遠い まだ見ぬ世界…♪」
って…
は!?
紛れもない
今日、打ち込んだばかりの
俺が書いたあの歌詞だった。