想い綴り
ギターの音も
ギャラリーからの手拍子も
なんの演奏もなく
冷たい空気に溶けていく歌声。
その細い体からは、想像も出来ないほどの
声量と広い音域。
下手くそなギターの音に
さっきまで苦笑いしてたギャラリーが一瞬にして静まり返る。
ゆっくりと流れる旋律に、まばたきも忘れてただ見入ってる俺。
空に溶けるメロディにゾクッと鳥肌が立った。
…俺の言葉って
音をつけると
こんな風に聞こえるんだ…
「~…2人乗りの自転車
風を切って走るよ
キミを乗せて
キミの街まで
未来へと続く
この空を越えて~…♪」
ほんの少しの余韻…
そして、
女の子が照れくさそうに頭を下げた瞬間、
ワアッと、沸き上がるような歓声と拍手。
こんな光景…
はじめてだった。