想い綴り
半分呆然としてる俺に、
「ヒマあったらまた聴きに来てね♪」
ご機嫌顔の彼女。
軽く手を振って背中を向けた。
……って!!
「ちげぇっ!!お前なんで人の作った詩、歌ってんだよっ!!」
「へ?人…?」
周りの視線も気にもしないで慌てて怒鳴った俺の声に
離れていこうとする足がピタリと止まる。
「歌った歌詞…
一字一句、間違いなく俺が昼間に打ち込んだヤツ」
キョトンと俺を見上げてる
そんな彼女に詰め寄って、
ケータイの俺のホームページを開いて、
今日打ち込んだばかりのあの歌詞をそのまま見せた。
「打ちこんだのが 今日の昼。あんた、何勝手に使ってんの?」
確かに、すげぇと思ったし、
誰でも覗けるようになってるけどさ
なんの断りもなくって…ちょっと気分悪ぃだろ
「おい、なんとか言えよ」
ちょっと、ムッとしてる俺。
別に、使ってもいいからせめて一言…
そう思ってた俺に聞こえてきたのは
「ふ~ん?あの倉田君がポエムね~?人は見かけによらないって本当だね」
悪びれることのない、そんな言葉。
…って!?
な、何でコイツ俺の名前知ってんだよ!?