想い綴り






「昨日のキレイな人といたでしょ」







ちょっとイラつき半分でそんな言葉を口にしたのは。


真奈美チャンが、友だちに呼ばれて席を立ったすぐ後だった。









あたしの吐き出した言葉に

それまでにこやかだった若杉の顔は、見る見るうちに無表情なっていく。





じっと見つめる視線。

あたしを責めるような…そんな視線にさえも、胸の奥はドキドキして

必死に合わせるように見つめ返すと。



若杉の顔がフッと柔らかい表情になった。










「…あ~…何、見てたの?いつ?」


「え…あ…昨日、帰る時…」


「ふーん?」











…あれ?

もっと焦って…言い訳とかすると思ったのに…









「葉月が見てたの、気が付かんかったわ」








って…

…なんで普通に話してんの?

浮気…してるくせに全然、悪びれもしないなんて。

なんなの?
なんかムカつく…








「…真奈美チャンにバラしたらやっぱり困る?」








若杉なんて…

ちょっとくらい困ればいいのよ。

でも
そんなあたしに返ってきたのは











「…あ~…葉月はたぶん…言わないよ?」


「え?…どうし…っ…」






思いがけない言葉に顔をあげた瞬間。












「これで共犯…でしょ」













…微かに

唇に熱い熱を感じた。





< 6 / 130 >

この作品をシェア

pagetop