想い綴り
「昨日のキレイな人といたでしょ」
ちょっとイラつき半分でそんな言葉を口にしたのは。
真奈美チャンが、友だちに呼ばれて席を立ったすぐ後だった。
あたしの吐き出した言葉に
それまでにこやかだった若杉の顔は、見る見るうちに無表情なっていく。
じっと見つめる視線。
あたしを責めるような…そんな視線にさえも、胸の奥はドキドキして
必死に合わせるように見つめ返すと。
若杉の顔がフッと柔らかい表情になった。
「…あ~…何、見てたの?いつ?」
「え…あ…昨日、帰る時…」
「ふーん?」
…あれ?
もっと焦って…言い訳とかすると思ったのに…
「葉月が見てたの、気が付かんかったわ」
って…
…なんで普通に話してんの?
浮気…してるくせに全然、悪びれもしないなんて。
なんなの?
なんかムカつく…
「…真奈美チャンにバラしたらやっぱり困る?」
若杉なんて…
ちょっとくらい困ればいいのよ。
でも
そんなあたしに返ってきたのは
「…あ~…葉月はたぶん…言わないよ?」
「え?…どうし…っ…」
思いがけない言葉に顔をあげた瞬間。
「これで共犯…でしょ」
…微かに
唇に熱い熱を感じた。