想い綴り
昼間の姿と恋の詩
「朔?どこ行くのぉ?由美も~っ」
「なに、男子便所くんの?」
「やだもぉ~っ、じゃあ、早く戻って来てよぉ?」
針が重なる12時過ぎ。
弁当抱えて
腕を絡ませてくる女子を、愛想笑いでかわして向かうのは
俺のいつもの特等席。
学校で唯一の息抜きの場所
…なハズなんだけど
はあぁ…
気が重い
それもそのはず…
扉をあけた途端に待っているのは
「やほ~♪作詞家さん♪」
そう…コイツ。
さっきまで、授業中ダルそうに外ばっか眺めて
また、教師を怒鳴らせてた問題児。
「ここ穴場だけど、やっぱりさっむいね~っ!!」
「…じゃあ、戻りゃあいいだろ~が」
「……女の子に優しい倉田君のセリフとは思えない言葉だこと。もしかして、2重人格?」
おっ前に言われたくね~よっ!!!
教室じゃ、誰が話しかけてもチラ見で終わる奴が、
あの一件から俺の前じゃ、まるで人が変わったかのように
笑うわ
しゃべるわ
おまけにウルサいわ…
せっかくの癒やしの時間が
今じゃ、一番疲れる時間
「…お前の正体バラしてやりてぇ…」
「え?あたし別に隠してないし」
「顔隠して歌ってたじゃん」
「あ~、あれ?あたし童顔だから、補導されないようにしてるだけ~♪」
そんな芹沢の言葉にうなだれる俺。
そんな俺に、芹沢が出した口止めの条件
それは
「ねぇ、今日のは?」
毎日、
作った詩を芹沢に見せること。
はぁ…
なんでこんなことに…
「ねぇ、早く~っ」
だ~っ!!
めんどくせぇっ!!