想い綴り
いつも通りの昼休み。
すでに恒例となった寒空の下の屋上。
鼻歌交じりで、教室のドアを開けて向かおうとした時だった。
「…ははっ…大好きで 大好きで?
それ以外思いつかないほどキミが大好きで?
そばにいてほしくて
そばにいたくて…っ…
キミを見るたび思うんだ
っ…
ぶふっ…ダメ~っ!!おっかし~っ!!」
一瞬にして
体が硬直した。
耳に届いたのは、誰も知らないはずのあの歌詞。
クスクス笑う声に慌てて振り返ると
「朔~、最近つきあい悪いと思ったらこんなの書いてるの~?
似合わな~いっ」
「芹沢となんか一緒にいるから、頭おかしくなったんじゃないのぉ?」
「ウケる~っ、お前、ちょっと、これはヤバくね?詩人ってか?」
そこに見えたのは
ケータイ片手にニヤニヤ笑う由美たち。
クラスのほかの連中も、なんの騒ぎかとざわめき出す中…
頭の中が真っ白だった。
…なんで
なんでコイツら…
「ごっめんね~?由美…こないだ見つけちゃってぇ~、つい、みんなに教えちゃったぁ」
「なに、芹沢ってこういうの書かねぇと足開かねぇの?」
冷やかしと嫌みな笑い声。
目の前の光景に頭がついていかない自分。
逃げ出したくなるような痛み
そして
「朔、お前まさかマジで芹沢…」
「ちげぇよっ!!ちょっとからかっただけだっての!!あんな女に本気になるわけね~だろっ!!」
…思ってもない
ごまかしの言葉。
でもそれを
芹沢が聞いてるなんて
…思いもしなかったんだ。