想い綴り







芹沢が振り向いてくれる可能性なんて

ハッキリ言ってゼロに近いかもしれない。








みんなの前であんな風に傷つけて

今さら…なんて都合のいい話


でも…






それでも

伝えたいと
一緒にいたいと
膨らむ気持ちを押さえられそうに無かった。










もつれそうになる足で

教室の見える校庭へと走った。












…アイツが俺を見るとしたら

いつも覗いてるここしか思い付かなかったから。













「朔也~?お前なにしてんだよ~」










堂々と授業放棄して

校庭に立ってる俺の向けられるクラスメイトの不思議そうな視線。



次々に開く教室中の窓ガラス

そのひとつに芹沢の姿を見つけた。











…もう、周りなんてどうでもいい

笑いたけりゃ笑えばいい。

必要なのは
欲しいのはただ1人


だから…











ケータイを開いて、ブログに保存していた一番新しい詩を更新させて。


“夜の歌姫に贈る”

そう付け足した…






きっと、アイツならわかるはず…








そして

深く深く息を吐いて ゆっくりと顔をあげて。












「芹沢ぁっ!!酷いこと言ってごめんっ!!俺っ……」










もう…遅いかも知れない

でも…















「恋なんて…
そんな言葉さえ知らなかった

幾多の偶然の中で
やっと見つけた光

キミを知る度に
広がる俺の世界


キミの声は光になって
遠く甘く俺に響く…


胸に花開く
甘い痛み高鳴り

刻み続けるこの鼓動…っ」















なぁ、俺の気持ち…

ごまかしも嘘もないありのままの俺の気持ち



この詩…










お前に届くか…?




< 72 / 130 >

この作品をシェア

pagetop