想い綴り
俺の大声の告白に
一瞬でざわめき立つ周りの声
冷やかしと教師の怒鳴り声の中
見上げた教室の窓には
…さっきまで見えていた芹沢の姿は見え無かった。
…やっぱり
こんな大勢が見てる中でなんて…
迷惑でしかねぇ…?
「倉田っ!!お前授業抜け出してなにやってるんだっ!!」
俺の姿に慌てるように駆け寄る教師達。
羽交い締めにされてもなお
教室の窓から目が離せないままの俺。
…もぅ、手遅れ
なす術なし…か
「ほら、早く教室に戻れっ!!」
数人の教師に掴まれて、
うつむきかけた時だった。
「―…恋なんて
そんな言葉さえ知らなかった♪
幾多の偶然の中で
やっと見つけた光~
キミを知る度に
広がる俺の世界
キミの声は光になって
遠く甘く俺に響く~…―」
それはいつか見たあの光景
どこまでも
響き渡る透き通った声と
大気に溶けてしまいそうな高音の旋律…
まるで粉雪のように
校庭にいる俺に降り注ぐ…歌姫の声
「…な……んだ…これ…どこから…屋上…?」
耳にした者全てが
一瞬にして言葉を失うほどのそんな圧倒的な歌声…
それは
俺がずっと
ずっと
聴きたかった声だった。