想い綴り









「…で?結局、今年も1人なワケだ」










お昼12時過ぎの会社の食堂


大好物のあさりのパスタを目の前にして、手もつけずテーブルに突っ伏してるあたし



その前で、溜め息付いて聞いてるのは


同期入社の受付嬢 弥生。







やっぱり受付に立たされるだけあって、

かなり可愛いって男性社員に大評判。





デートのお誘いのない日はないし、

常にケータイのスケジュールは年明けすぎまで予定だらけ。



彼氏?






…もうサイクル早すぎて、すでに誰が彼氏なのかもよくわかんない。












「そんな男 振っちゃえばいいじゃない。六花、モテるんだから~。なんなら他の男、紹介しよっか」








うなだれたままのあたしの前にケータイのアドレス帳を開いて

どれにする?なんてふざけて笑う。










「仕方ないもん。シグレ、スタッフリーダーだし…それに」








チラッと弥生を見上げて











「…シグレじゃないと意味ないし」













そう


別に
ノロケるつもりはないけど、



どんなイケメンを目の前に差し出されても


結局、一緒にいたいと思うのはただ一人。









口が悪くて意地悪で

約束なんてすぐ忘れちゃって


ドタキャンなんて当たり前

でも





誰にでも分け隔てなく優しくて


いつもなんにでも一生懸命で



嘘のつけないまっすぐなそんなシグレ、ただ一人。











世の中、
惚れた方が負けって言うけど

あながち、それも嘘じゃない。








楽しみにしてたイブを反故にされても
それでもやっぱり思うのは


自分のこと後回しで頑張ってるあの姿。














本当、重傷…






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