想い綴り
シグレと出逢ったのは
ちょうど雪が降り始めた5年前のこの季節。
当時、
付き合ってた彼氏に浮気されて周りが浮かれてる中、1人落ち込んでたあたし
そんなあたしを励まそうと友達が誘ってくれた飲み会にいたのが
シグレだった。
「もうすぐクリスマスじゃん。プレゼントもらうなら何がいい?」
不意に仲間の中から飛び出したそんな質問。
「そりゃあ豪勢にブランドもののリングとかじゃな~い?」
「あたし、モノグラムのバックがいい~!!六花は?六花が欲しいのって何?」
酔いに任せて口々に笑う女の子の中で
ただ1人彼氏もなしにやさぐれ気味なあたしが適当に口にしたのは
「…サンタクロース」
思いっきりやる気のない返事に、周りのみんなが静まり返った瞬間。
「ははっ、そんなん誰ももプレゼントできねぇって」
ただ1人、吹き出すように笑ったのがシグレだった。
それまで
たいして話題にも交じらないで、ただ隣で黙って飲んでたシグレ。
「でも、相手がサンタじゃ、クリスマスに会えねぇじゃん」
不意に向けられた笑顔に、一瞬にして心臓を鷲掴みにされたあたし。
「…別に…365日のうちの1日くらい会わなくても、ちゃんと愛してくれたら平気だもん」
「じゃあ、俺でもいいじゃん。どう?俺、何気にアンタ…好みなんだけど」
あの日…
シグレの見せた柔らかい笑顔から
あたしの恋が始まった。