想い綴り
ありえないイブの夜
『ー…今日は、クリスマスイブ、全国的に冷え込みの強い1日になりそうで…ー』
すでに時計は8時過ぎ
ちょっと冷え込む部屋でテレビから流れてくるのは
ビジョンいっぱいのイルミネーションの映像。
過ぎ行く人達幸せそうな笑顔とゆっくりと舞い落ちる白い雪。
めったに雪なんて降らないのに
今日はやっぱり特別みたい
そして
そんな特別な日にドタキャンくらったあたしはと言えば…
「…っし、ケーキOK♪あとは…あった、箱に詰めれば出来上がり♪」
24時間営業のガソリンスタンドで頑張ってるシグレのために
小さなケーキを製作中。
いくら仕事と言えど、やっぱり今夜はクリスマスイブ。
寒空の下
文句も言わないで笑顔で頑張ってるシグレにも
ほんの少しでも、そんな気分味わってほしいから。
小さなバスケットにチキンやケーキを詰め込んで
ポットにはあったかいコーヒーを持って
この日のために買った白いコートを羽織った。
「シグレの事だから、文句言いながらも受け取ってくれるんだろうな~」
頭に浮かぶのは、照れくさそうな仏頂面
思わず、その顔に笑顔になるあたし
ドアを開けた途端
舞い込んでくる雪を眺めながら、驚く顔見たさに
ゆっくりと部屋の鍵をかけた。