想い綴り









目に映るケータイのディスプレイ





“シグレ”


その文字に、関を切ったようにこみ上げる涙









ゆっくりと耳に当てるとちょっと静かな優しい声が聞こえてきた。









『…なに1人で出歩いてんだ。危ねぇだろ…』









…いつもの
いじわるな口調



でも

なんだか…声に覇気がない。






たぶん、店長さん

あたしがスタンドに顔出したこと…すぐにシグレのとこに連絡してくれたんだ













「シグレ…あたしのこと…嫌いになった?」










視界が歪むほど溢れ出す涙。


愛しさ
切なさ



不信感…










その全てが胸の奥でグチャグチャに渦巻いてた。














『…俺にはお前だけだって言ったろ…?』











じゃあ、なんで…?

そう口にしようとしたあたし。


でも


すぐさま耳に届いたのは













『…六花…?日付…時計が12時を回るまで、もう少し見て見ぬ振りしててくれないか?

そうしたら
お前が欲しがってるもん全部やるから』










まっすぐと響く
そんな声













…シグレ?

12時って?





どういうこと…?







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