想い綴り







真っ赤なコート
襟元には白いファー




まるで、
サンタを意識したみたいな出で立ち。












「…なに…その格好…」


「…顔見てすぐそれかよ」











どうして、誰もいなかった部屋にいるの?


その普段、着たことないような格好はなに?






言葉は浮かぶんだけど

頭の中が整理しきれないあたしの目に映るのは








手すりの上に腰掛けてるシグレの姿









ただただ目を丸くしたままのあたしに、フッと柔らかく笑うと








「…ちょっと早めに仕事終わったし…まずはおかえりなさいじゃね?」










おいでって、大きな手を差し出した。















「シグレ…?なんで…さっきまでいなかったよね」


「あ?ああ、今、帰ってきたからな」


「帰って来たって…」









どうやって?










シグレの手におそるおそる手を重ねて

そう口にしようとした瞬間

















「…え…って!?なっ、なにこれぇっ!?」



「六花うるさい。夜中に近所迷惑」


「えっ!?だってっ…なんで!?」












まるで無重力の中にいるみたいに

あたしの体が宙に浮いた。







< 96 / 130 >

この作品をシェア

pagetop