想い綴り
真っ赤なコート
襟元には白いファー
まるで、
サンタを意識したみたいな出で立ち。
「…なに…その格好…」
「…顔見てすぐそれかよ」
どうして、誰もいなかった部屋にいるの?
その普段、着たことないような格好はなに?
言葉は浮かぶんだけど
頭の中が整理しきれないあたしの目に映るのは
手すりの上に腰掛けてるシグレの姿
ただただ目を丸くしたままのあたしに、フッと柔らかく笑うと
「…ちょっと早めに仕事終わったし…まずはおかえりなさいじゃね?」
おいでって、大きな手を差し出した。
「シグレ…?なんで…さっきまでいなかったよね」
「あ?ああ、今、帰ってきたからな」
「帰って来たって…」
どうやって?
シグレの手におそるおそる手を重ねて
そう口にしようとした瞬間
「…え…って!?なっ、なにこれぇっ!?」
「六花うるさい。夜中に近所迷惑」
「えっ!?だってっ…なんで!?」
まるで無重力の中にいるみたいに
あたしの体が宙に浮いた。