想い綴り







サンタクロース







クリスマスに子供にプレゼントを届ける夢の世界の登場人物


その正体なんて
たいてい自分のお父さん







そんな事、今時の小学生だって知ってる



もちろん
あたしだって、いるわけないって当たり前に思ってた




思ってたんだけど…











今、目の前にいるのは







「本当は、これ極秘事項なんだからな~」






ため息混じりに笑顔を浮かべながらパチンと指を鳴らして、

あたしの目の前に次々とレゼントの箱を出すシグレ。








ただただ目を丸くしてるあたしに、










「…たぶん、俺といる限りイブはいつも1人だけど…


イブ以外の364日は、ずっとお前だけ見てる。

そんなサンタの彼女…やっぱヤダ?」











そう笑って、ポケットの中から小さな箱を取り出した。














364日って…











出会った頃にあたしが言ったセリフ…













「なに欲しいって聞かれて、サンタだなんて答えるヤツ…はじめて見た。

正直、あれにやられたかな」












中に見える、小さな石のついた銀色のリング





あたしの左手に通すと、









「ほら、返事は?」







なんて、ちょっと膨れた照れ笑い。










そこにあるのは


嘘のつけない
いつも見慣れたシグレの笑顔。













「…シグレ…トナカイは?」


「…お前、いつの時代の話だよ。あんなんマンションで飼えねえし」









愛おしそうに、あたしに触れて












「俺には、お前しかいないだろ?」








照れ笑いでキスをくれた。






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