呪われ暗殺ガール
「せめて簀巻きだけでも解いてくれませんか。身体動かせないのだいぶキツいんですが」
「随分厚かましい容疑者だね」

自力で拭えない涙を誤魔化す様に要望を口に出すとグレン様から盛大な溜め息と呆れ顔を頂いた。
そんな表情にすらときめくんだから私は相当末期だと改めて凹む。
自分のどーしようのなさに俯いているとオマケにもう一つ上から溜め息が聞こえた。

「――下手な動きしたら速攻でまたふん縛るから」

ふわりと目元に温かい何かが触れたかと思った次の瞬間、身体全体をキツく拘束していた縄が解けた。

「ありがとう、御座います」
「……間抜け面」
あっさり解かれた簀巻きに呆然とする私をグレン様が鼻で笑い、流れる様な動きで立ち上がる。
「分かっているとは思うがあと数日で殿下の王位継承の儀が執り行われる。それまでは事を荒立てたくない――大人しくしておいて」
「……」
「じゃあ、後で食事持ってこさせるから。疑いを晴らしたいならまずは残すなんてマネしないことだね」

そうしてグレン様は部屋から出て行った。
いつの間にか拭えなかった涙は消えていた。

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