呪われ暗殺ガール
って、完結してどーする。
このままじゃバッドエンドでデッドエンドな未来しか見えん。
それは流石に勘弁願いたい。
ただでさえ身動き取れず情報も足りないのだ。
少しずつでも何かしていた方がマシだろう――そうして何とか今日三度目となるメシマズの試練を乗り切った後、私は少しでも情報を得られないかと目の前で機敏に動く美女へ思い切って話を切り出した。

「あのー、今更ですけど何と呼べばよいか分からないのでお名前教えてもらえないでしょうか?」
「……………」
「あ、あのいつも食べさせて下さってる料理って誰が作っているんですか?なかなか独特な匂いと味ですよね!」
「……………」
「あの」
「いいから黙って身体拭かれてて下さい」
「すみません」
……。勝てる気がしない。
薄々気付いてたけどこの人必要最低限の事しか話してくれない。
今日のお昼なんて問診の時以外一言も発言してなかったしな!
………と言う事だけが今のトライで分かった。

「……」
一体私が何をしたと言うのか。
いや、王子暗殺未遂の容疑者ではあるが。
美女がどこまで事情を知っているかは不明だが、彼女のこの態度も純粋にそこからのみきていると思いたい。
だが南部出身と言うだけでこの半年間理不尽な目に遭ってきた身としては、悲しいがそれも要因の一つではないかと疑念が消えないのもまた事実。
―――こんな北と南の溝を埋めたくて王都に来た筈なのに、なんとも皮肉な話である。

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