呪われ暗殺ガール
* * * * *

「お疲れ。経過は?」
「問題なし。今のところ此方の想定通り」
「そうか」
とうの昔に日が暮れ大体の人間が寝静まった深夜の使用人宿舎。
数日前から始まった深夜の会合には変わらずいつもの顔が揃っていた。

「他に何か言ってた?」
「あ?あー…うん、メシマズすぎて辛い勘弁してくれとかなんとか」
「はは、思ったより彼女元気そうだね」
「……」
初日こそこの世の終焉とばかりに責任を感じて落ち込んでいた主。
しかしここ数日は部下のこの報告が唯一の楽しみと言わんばかりに顔を輝かせている。…お気楽なものだ。

「あ、あと"レベッカ"から色々聞き出そうとしてた。そろそろ色々頭回るようになったんじゃない」
「…そうか」
何となく予想していたとは言え、その報告に一つ溜め息が漏れる。
―――身元が不確かな少年との約束の為、単身あの南部から乗り込んでくる程重度のお節介だ。
彼女が動く事で何も起きなければ良いのだが。……。

「そういやグレン、あの子ってさ…って聞いてる?」
考え込む僕に目の前の部下が手をかざす。
まだ何かあるのかと内心酷く動揺していたが努めて平静を装った。
「…ああ、彼女がどうした?」
「あ、聞こえてんのね。いやー…ああ、うん、やっぱり何でもないですわ」
「どっちだ」
構えていた分曖昧に誤魔化され肩透かしをくらっていると、背後からソファで寛いでいる主の忍び笑いが聞こえた。
「ああ、君も気付いたかい?」
「そりゃあもう、一目瞭然でしょう。疑う気すら失せてしまいましたよホント」
「………悪趣味なからかいは止めてくれませんか」
何かと思えばまたこのネタか――好事家な主と部下に心底辟易しながら何とか解散に持ち込んだ。


二人が指し示すそれに気付いていない訳ではないが、こればかりはどう対処すべきか決めあぐねていたのだった。

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