【短】迷子
迷子
春の陽射しが降り注ぐ中、公園のベンチに腰を下ろし、コンビニで買ったおにぎりにかぶりつく。
ここ数日、随分と暖かい日が続いていて、ここに植えられている桜の木にも、薄いピンクの花がちらほらとつきはじめた。
満開になったら綺麗だろうなぁ
そんなことを思う余裕もなく、黙々とおにぎりをほおばる。
この公園の近くに取引先がある。
約束の時間まで30分。
15分後にここを出て、さっきのコンビニで買い忘れたガムを買って…。
5分前には受付で名刺を出す。
頭の中で“流れ”を作っておく。
時間に余裕がないときは、こうでもしないとスムーズに行動できない。
暖かな気候と日頃の疲れも手伝って、気を抜けば睡魔に襲われる。
仕事サボって昼寝したいなぁ…
芝生や他のベンチでのんびりランチをしているOL達を横目に、ペットボトルのキャップを開けた。
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