【短】迷子
迷子

春の陽射しが降り注ぐ中、公園のベンチに腰を下ろし、コンビニで買ったおにぎりにかぶりつく。

ここ数日、随分と暖かい日が続いていて、ここに植えられている桜の木にも、薄いピンクの花がちらほらとつきはじめた。


満開になったら綺麗だろうなぁ


そんなことを思う余裕もなく、黙々とおにぎりをほおばる。


この公園の近くに取引先がある。

約束の時間まで30分。


15分後にここを出て、さっきのコンビニで買い忘れたガムを買って…。
5分前には受付で名刺を出す。


頭の中で“流れ”を作っておく。

時間に余裕がないときは、こうでもしないとスムーズに行動できない。

暖かな気候と日頃の疲れも手伝って、気を抜けば睡魔に襲われる。


仕事サボって昼寝したいなぁ…


芝生や他のベンチでのんびりランチをしているOL達を横目に、ペットボトルのキャップを開けた。

< 1 / 17 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop