【短】迷子
明るくサバサバした性格が好きだった。
なんでもはっきりと言う彼女は、優柔不断な俺にとって、なくてはならない存在になった。
毎日でも会いたい
ずっと、一緒にいたい
そう思っていても、時間が経つにつれ、愛情はカタチを変えてしまう。
俺はそれを、仕方がないことだと思っている。
永遠に変わらない愛なんて、この世の中に存在するのだろうか
早苗は言う。
「あの頃は毎日のように『好き』って言ってくれたのに」
と。
自分は、俺に『好き』だなんて言わなくなったくせに。
自分のことは棚にあげ、俺には付き合いはじめの頃と同じように、愛して欲しいと願う。
記念日には、一輪の花でもいいから買ってきて
誕生日には、内緒でプレゼントを用意して
忙しくても、年に一度は旅行に連れて行って
愛してるって、カタチを欲しがる。
早苗のことを嫌いになったわけじゃない。
だけど、ときどき逃げ出したくなる。
もし、どこかで逃げ道が見つかったとしたら
俺は…。