う・ら・は・ら
「言わねぇんなら、やめるぞ」
名前を呼んでいた時とは違う。
冷たい声を耳元に残して、私から出て行こうとしたから。
ついとっさに武哉が離れていかないよう、足を絡めて引き止めてしまった。
「……何?」
私の行動の意味を理解してるはずなのに。
気付かないふりをする。
やっぱり口にするしかないみたいだ。
「……ないで」
観念して発した精一杯の言葉。
なのに武哉は――。
「聞こえない」
軽く一蹴して、言い直しを要求する。
どこまでイジワルなの?
恥ずかしくて死にそうだけど。
もう私が堪らなくて……。
武哉の首に腕を回し、乱暴に引き寄せて耳打ちする。