あ
prologue
-湊 side-
私は、某有名会社の社長の娘
-永村 湊-
(Eimura Minato)
私は、昨日まで中学校に通う、中学3年生だった。
普通に15年間、女の子で生きてきた。
-水沢 湊-
(Mizusawa Minato)
これは、私の偽名。
ある日突然、親父に言い渡された。
「お前には3年間、水沢 湊として生きてもらう。」
「はぁ?
永村の名を捨てろって?」
「……お前を……
いや、なんでもない。
とにかく、今日から3年間、お前は男、水沢 湊だ。」
「お……とこ……?」
「湊、悪く思わないでくれ。
お前のためなんだ。
湊には、4月から佐和田学園に入学してもらう。」
「佐和田学園って……男子校……。」
「そうだ。
湊には、男として男子校に3年間通ってもらう。」
「な、んで……?」
「今は言えないが、卒業すれば分かることだ。
少しばかり、我慢してくれ。
頼む。」
プライドの高い親父が、私に頭を下げた。
それも、深々と。
そんな一生懸命頼まれたら、断れない。
「……わかった。」
「そうか。
佐和田学園は全寮制だ。
今すぐに、準備を始めるように。」