ドリームハイ

＃ゼロからの出発

小さな世界

「今日も良いステージだったわ、里奈」

「ありがと」

「なんて言ったって国民的歌手の娘なんだからね！」

そう、あたしは誰もが知っている国民的歌手・椿優美の娘の椿里奈。

そりゃ歌だってうまいし、顔もお母さん譲りでなかなかイケてる。

さらに成績優秀、おまけに運動神経だって優れている。

あたしは完璧な娘なの。

あたしより上に立つ奴なんていない。

むしろ、みんなあたしが怖くて立ち上がれないくらい。

ほんと、笑っちゃう。

世の中広いようで狭いってこういう事なんだね。

「里奈、明日は高校入試よ。体調崩さないように早く帰りましょ」

「はあい」

明日は高校入試。

さっきのステージで跳ばしすぎて頭が痛い。

でも、こんな頭痛はしょっちゅうでもないけどあることだから大丈夫！

高校は都内の名門・聖マリアンヌ高校を受ける予定。

もちろん、そこ以外は受けていない。

周りのみんなは何校か受けているみたいだけど、そんなのは所詮弱虫のすること。

あたしはそんなことしない。