白い星

「こうして話すのは
はじめてですね」
勇がいった。
奈美は
夢じゃないかと
頭をかかえた。
「そうですねー」

「どこか買い物ですか?」

「歩きで行ける場所
限られてるんで
あきらめたトコです」
笑いながらそういった
奈美に勇は
「このへんじゃ
ナンパもひどいでしょ?
良かったら
つきあいましょうか?
お買い物」

「ホントですか??
でもお兄さんも
なんか用事
あったんじゃ…」

「いや
ヒマだったんで
ぶらぶらしてた
だけなんで
よければご一緒
させてください」

勇は赤信号に気付き
車を止めた。
咲き始めの桜が
キレイに風で
舞っている。

こんな幸せなトキは
他にないだろう。
涙がにじんだ。

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