いつか見る青
私のトークは神崎さんの聞きたかったこととは方向が違ったらしい。


やんわりと軌道修正された。


「えと、何だか父の両親に結婚を反対されて、駆け落ち同然で家を出たらしくて」


「ええ」


「その時に父が亡くなってしまったから、ますます相手が母のことを怒って、父の遺体は持って行かれちゃって、母はお線香をあげることもお墓参りも許してもらえなくて……」


『あおいにまで寂しい思いをさせちゃって、ごめんね……』


その話をした時に見たお母ちゃんの、悲しそうな表情を思い出す。


「それで、母の方はもともと親戚とは疎遠だったんで、血の繋がった人は、誰もお葬式に呼べなくて」





また話がズレて来たかもしれない。


神崎さんが聞きたいことは、こういうことじゃないかも。


しかもマズイことに、目の前の景色がユラユラとしてきた。


「安心して下さい」


無駄なあがきかもしれないけど、涙を見られないように俯いた私の頭上から、神崎さんのやさしい声が降ってきた。



「もう瑠璃さんの事を、怒ってなんかいませんから」


「え……?」
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