いつか見る青
今まで、パンをそんな風にして食べた事なんかなかったから。


それって本来のサンドイッチの定義からは大きく逸脱しちゃってるよね。


だけど具材のオムレツがすごく大きくて、野菜の量もハンパなくて、お皿に盛られてる時点ですでにパンから中身がはみ出してるから、それを手掴みで食べるというのは至難の技だった。


仕方なく、不慣れなナイフとフォークを手に取ったんだけど、いざ使ってみたら、自分で思っていたよりも上手に切り分ける事ができたのでびっくりした。


「食わず嫌い」ならぬ「使わず嫌い」だったんだろか?


そんな事を頭の片隅で考えながら、神崎さんとの会話を楽しみつつ、大満足の食事を終えて、お会計へ。


神崎さんが私の分も出してくれそうになったけど、慌ててワリカンを申し出た。


昨日のラーメン屋さんは断り切れずにおごってもらっちゃったんだけど、今日こそは自分で出さなくちゃ。


一応、当座の生活に困らないくらいのお金は手元にあったし、それプラス民さん経由でおじいちゃんからお小遣いももらってあったから。
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