いつか見る青
私達の後ろにも会計の人が並んでいたので、ここで言い争いをしていては迷惑をかけると思ったのか、神崎さんはすんなりと私の申し出を受け入れた。


「では、いよいよ携帯ショップですね」


二人で車に乗り込み、神崎さんがそう言葉を発した所で、ふと腕時計を見てみたら、12:36だった。


今さらながらに気が付いたけど、会社のお昼休みって、普通は1時までだよね……。


これから携帯屋に行って何やかんややってたら、神崎さん、事務所に戻るのが大分遅くなってしまうんじゃなかろうか?


「大丈夫ですよ。15時まで時間休を取ってありますから」


私のその仕草に気付いたのか、神崎さんが先手を打って解説する。


「え?時間休?」


「ええ。就業時間内の、何時から何時まで私用で抜けますよ、という届け出です。用事はあるけど一日休むまでもない、という時に使うものですね」


ああ、そうか。


そういえばお母ちゃんも、授業参観とか三者面談とかあった時、それが済んだらまた仕事に戻ってたな。


「という事は、結局私、神崎さんにご迷惑をおかけしてしまったんですね……」
< 131 / 198 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop