いつか見る青
その間に、私はぶしつけにならないように気を付けながら室内に視線を巡らせる。


8畳ほどの、昔ながらの作りって感じの和室だった。


縁側は南に面しているので、昼間はさぞかし明るくて気持ちの良い力強い日差しが差し込む事だろう。


元はひいおじいちゃん達、つまり一家の主が寝室に使っていた部屋だもんね。


広くて陽当たりが良いのは当たり前だ。


こんな素敵な部屋を、お母ちゃんはあてがわれていたんだな……。


「普通、家政婦がこんな立派なお部屋使わせていただけないですよね。ホントにありがたい事です」


私の考えている事が伝わったのか、民さんは窓を閉めて鍵をかけながら言葉を発した。


「とは言っても、このお屋敷はどのお部屋もとても広いんですけどね。それに皆さん、和室より洋室の方が使いやすいらしくて、このお部屋はずっと空いていたんです。なので私が使わせていただく事になったんですけど」


「母もここで約1年間、生活してたんですよね……」


「ええ。そうですよ」
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