いつか見る青
そしてその刺激は、鼻腔までジンジンと伝わる。


今までどこに貯蔵されてたんだろ?と思うほどの大量の液体が、目からも鼻からもどっと溢れ出した。


「うぅっ。……す、すみませっ……」


ハンカチで顔を押さえ、しゃくり上げながら、私は謝罪した。


「あとで、あらって、返しますから……」


何だかもう、超絶に情けなくて恥ずかしい。


横隔膜が盛大に痙攣して、堪えようと思っても声が漏れてしまう。


過呼吸一歩手前の私の背中に手を置き、民さんは無言で優しくさすってくれた。


感情が揺らいだのは事実だけど、だからといって、これほどまでの泣きの発作に襲われるなんて自分でもびっくりだ。


静めようと思えば思うほど、激情が込み上げて来る。


「我慢しないで、思い切り泣いて下さいな」


民さんもいい加減引いてるんじゃなかろうかと思った時、予想とは相反する言葉を投げ掛けられる。


「大丈夫ですよ。ここには民しかいないんですから。いつまででも、私がお付き合いいたしますから」
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