いつか見る青
未来はクールに言い放った。


「それは別に母親自身がエライ訳じゃない。そういう星の元に生まれた幸運に感謝して、その幸せを少しでも周りの方に還元するよう努めなきゃ、バチが当たるってもんです」


「……お前こそ、やけに母親に対してシビアじゃんか」


「そうですか?」


未来はヒョイ、と肩をすくめた後、続けた。


「でもそれは、自分自身への戒めでもあるんですけどね」


「戒め?」


「母親の幸運は、息子の俺にも当然引き継がれてますから。勘違いしないように、羽目を外さないように、生きて行こうと自分に言い聞かせてます。厚顔無恥にはなりたくないんで」


「お前、ホントに中学生かよ?」


何だかちょっとそら恐ろしい感情を抱きつつ、俺は思わず問いかけた。


「ええ。まごうことなき中学3年生の15歳ですよ。それは紫さんにも分かり切ってる事でしょ?俺が赤ん坊の時から成長を見守って来たんですから」


「……とにかく、今日子さんがどう思おうと、世間的にはあいつの母親は非常識な事をしたんだよ」
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