いつか見る青
その話題を広げても意味がないので、俺は強引に会話の軌道修正を行った。


「そして、そのせいで兄さんは命を落としたんだ。俺は絶対に、あの女も、あの女の娘も、許す事はできない」


圧倒されたように、未来はしばし無言でいたが、おもむろに語り出した。



「……紫さんの気持ちも、分からなくはないです」


「良いんだぜ?別に、無理してフォローしてくれなくても」


「無理はしてませんよ」


我ながら拗ね気味に吐き出した俺の言葉に、未来は間髪入れず返答する。


「分からなくはないけど、でも、完全に肯定する気もありませんから」


言いにくい事を、未来は清々しく言い切った。


「俺はまだ葵さんと知り合ったばかりで、良くも悪くも、彼女に対しては何の思い入れもありません。だから紫さんの気持ちに、安易に同意する事はできません」


「……良いよ、もう」


俺はすこぶる面倒くさくなってきて、未来から視線を逸らすと、再び椅子を回転させて机に向き合った。


こんな扱いづらい奴を仲間に引き込もうとした俺がバカだった……。
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