いつか見る青
ぼくはそこでお話するのをやめた。


お母さんが、すごく真剣な顔で何か考え込んでいることに気づいたから。


「……お母さん?」


「その事、他の人には言ったの?」


しばらくたってから、お母さんはそう聞いてきた。


「え?ううん。はずかしいから、他の人には内緒にしててねって言われたから……あ」


今になってるりちゃんのその言葉を思い出し、ぼくはとても慌てた。


「いけない。約束やぶっちゃった」


「……大丈夫よ。あなたから聞いたって事は言わないから」


お薬を救急箱に戻し、立ち上がりながらお母さんは言った。


「その代わり、今度こそ、この事は誰にも言ってはダメよ」


「う、うん……」


「お母さんが何とかするから」


「え?」


聞き返したけれど、お母さんは答えてくれなかった。


そのまま体の向きを変えて戸棚の所まで歩いて行ってしまう。


何だかぼんやりしてて、ぼくの声なんか聞こえていないみたいだった。
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