いつか見る青
「二人には悪いが先に食事を摂らせてもらったぞ」


「あ、いえ。こちらこそ、ご一緒できなくてすみません」


「いや。昨日も言ったが、年寄りに合わせる必要はないんだ。夏休みなんだし、多少は遅くまで寝ていても大丈夫だ。ただし、体が鈍らない程度にな」


慌てて発した私の言葉におじいちゃんは穏やかにそう返答してくれた。


そこで民さんがワゴンを押して入って来たので、私は昨日と同じ席に、未来君はその左隣に素早く腰掛けた。


「今日はゆっくりなんですね」


コーヒーを飲みながら新聞を広げたおじいちゃんに問いかける。


昨日の今頃はもう居間に移動していたハズだけど……。


「ああ、今日は私は休みだから」


「あ、そうなんですか?」


「ミヤマ文具店は年中無休で、出勤は交替制だからな。正社員は土曜日か日曜日のどちらかと、平日1日が休みになるんだ。そして私の休みは今日に割り振られたという訳だ」


「でもおじさん、休みの日でも結局事務所や店舗に顔を出してしまうそうじゃないですか。祖父が言ってましたよ」
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