いつか見る青
「アイツに言われたくないなぁ」


未来君の言葉に、おじいちゃんは苦笑いを浮かべながら続けた。


「休診日なのに歯痛で苦しんでる人を放っておけなくて、診てやったりしてるくせに」


「そうなんですよね」


未来君も苦笑を浮かべる。


「しかし、今日こそは私はシフト通りに休ませてもらうぞ。仕事も丁度きりの良いところまで片付けたし、引き継ぎも完璧だ」


そこでおじいちゃんは私に視線を向けた。


「ところで葵。今日一日、何も予定はないか?」


「え?あ、はい」


「家内の見舞いに病院に行くつもりなんだが、お前も一緒に来る気はあるか?」


「え!い、良いんですか?」


私は思わず興奮気味に声を発し、身を乗り出してしまった。


「ああ。突然で悪いが、仕事の進み具合によってどうなるか分からなかったから前もって決められなかったんだ」


「いえ、そんな……」


「そして肝心の家内の体調だが、民さんによれば、ここ数日安定しているようだし、担当医から見舞い客を連れて来ても良いと許可が降りたらしい」
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