いつか見る青
「住み込みの家政婦を雇うようなお金持ちとさ、価値観合うの?あおいが、そんなプライドの高そうな人達と、やっていけんのかしら?」


「ドラマとかじゃ、たいてい誰かにいじめられて追い出されそうになるんだよな」


秀ちゃんがニヤニヤしている。


「ちょっと…。脅かさないでよ」


「大丈夫だよ、あおい」


だけどその表情とはうらはらに、秀ちゃんの口調は思いがけず穏やかでやさしかった。



「そしたら、とっとと逃げ帰ってくれば良い」


「……え?」



「泣かされて帰って来たら、今度こそ俺らが、全力で、あおいのこと守ってやるからさ」


秀ちゃんが柔らかな微笑みを浮かべながら私を見ている。


和ちゃんは、何だかまた泣き出しそうな表情だ。



だけど、今度ばかりは私もやばかった。



ホントは最初からずっとずっと我慢してたんだ。



今までお母ちゃんと二人で生きてきた。



だけど、そんなに淋しい思いはしなかった。



二人に出会うことができたから。



だんだんと滲んでくる視界に映る、夕日に照らされた二人。


ずっと私を励まして支えてくれていた……



かけがえのない、大切な、大切な、宝物……。
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