いつか見る青
もしかしたらもう二度と、使われる事はないかもしれない。



俺はベッドサイドのチェストに近付き、そこに飾られている母さんの写真を真上から見下ろした。



写真の中の母さんも華奢だが、今は病気のせいで、さらにやせ細ってしまっている。


薄暗い部屋の中、独特の存在感をもって浮かび上がる母さんの写真に向けて、俺は心の中で語りかけた。



母さん。


あいつが、とうとう見つかったんだってさ。


母さんから大切なものを奪っておきながら、いけしゃあしゃあと生き延びた、あの女の娘が。


しかも図々しいことに、俺達の前に姿を現すつもりらしいよ。


大丈夫。


心配しなくて良いよ。


俺は、母さんの味方だから。


母さんはもう疲れてしまって、人と戦う気力もないだろうから。


俺が代わりに頑張るよ。


認めない。



あいつとの、血の繋がりなんか、絶対に認めない。


許さない。



あいつが幸せになることなんて、絶対に許さない。



俺達が味わった……



いや、それ以上の苦しみをその身に与えて



この家から



母さんの目の前から



あいつのこと、追い払ってあげるからね……。
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