いつか見る青
Memories1
「皆さん寒いなか、お疲れ様」


るりちゃんが、大きなトレイをテーブルによいしょ、と置いた。


その上には、みんなの分のホットココアと、丸とか、お星さまの形をしたおいしそうなクッキー。


とっても広い畳の部屋に、近所のお友達が4人、集まっていた。


遊びに来たわけじゃないんだ。


毎週土曜日の午後、この部屋でお習字教室が開かれているから、今日もみんなそのために来たんだけど……。


「奥様が、せっかく来ていただいたのに、ごめんなさいって」


「先生、お体は大丈夫なんですか?」


るりちゃんのそばに座っていたゆかちゃんが、心配そうに聞いた。


ゆかちゃんは中学一年生。


お友達の中では、一番年上のお姉さんなんだ。


「ええ。大丈夫ですよ。ちょっとお風邪をひいちゃって。生徒さんにうつすと大変だから、今日の教室は中止にする事にしたの。急いで電話したんだけど、由佳ちゃん達は入れ違いになっちゃって。ごめんなさいね」


「いえ、大丈夫です。私達が家を出るのが早すぎたから。ね?」


そう言いながら、ゆかちゃんはみんなを見わたした。


3人とも『うんうん』とうなずく。


「気にしないでよ!るりちゃん特製のクッキーが食べれるんだから、かえってラッキーだよな!」
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