いつか見る青
第二章
葵
「ミヤマ文具店は、一郎氏のお父様である美山五平氏が昭和10年に創業なさいました」
神崎さんの運転する車内、私はミヤマ文具店の社史のレクチャーを受けていた。
高速にのるため、車は県道を西に向かって走っている。
「1号店は東京ではなく、五平氏の生まれ育った埼玉の春日部です。ご実家の近くの空き家を売り主と交渉して安く譲り受け、自宅兼店舗として改築したそうです。その時五平氏は20才。奥様であるふみ様と籍を入れた年でもあり、新居としての意味あいもあったみたいですね」
「すごいですね~」
私は思わずため息をもらした。
「20才っていったら、今の私と4つしか違わないですもん。それなのに、もう結婚して家を建てたんですね」
「五平氏は中学を卒業してすぐに働きに出ていましたから。今の20才とは生まれ育った環境が違いますからね。土地の値段も現在とは雲泥の差でしたでしょうし」
神崎さんの話に相づちを打ちつつ前方を見ると、路線バスが止まっていた。
乗客が乗り降りしていて、動き出すのにまだまだ時間がかかりそうだった。
神崎さんの運転する車内、私はミヤマ文具店の社史のレクチャーを受けていた。
高速にのるため、車は県道を西に向かって走っている。
「1号店は東京ではなく、五平氏の生まれ育った埼玉の春日部です。ご実家の近くの空き家を売り主と交渉して安く譲り受け、自宅兼店舗として改築したそうです。その時五平氏は20才。奥様であるふみ様と籍を入れた年でもあり、新居としての意味あいもあったみたいですね」
「すごいですね~」
私は思わずため息をもらした。
「20才っていったら、今の私と4つしか違わないですもん。それなのに、もう結婚して家を建てたんですね」
「五平氏は中学を卒業してすぐに働きに出ていましたから。今の20才とは生まれ育った環境が違いますからね。土地の値段も現在とは雲泥の差でしたでしょうし」
神崎さんの話に相づちを打ちつつ前方を見ると、路線バスが止まっていた。
乗客が乗り降りしていて、動き出すのにまだまだ時間がかかりそうだった。