いつか見る青
ホールでのお葬式を無事終えて、私はアパートに帰って来た。


骨になったお母ちゃんを抱きしめながら。



お墓がないから。


とてもそんなもの建ててる余裕はなかったから、しばらくは一緒だね。


お母ちゃんはもともと小柄だったけど、こんなにちっちゃくなっちゃった……。


私は布団を敷いた。


お母ちゃんを枕元に置いて、添い寝するように横たわる。


これからどうしようかな……。


お母ちゃんは私の為に、コツコツと貯金しておいてくれた。


会社からの退職金や、生命保険にも入っていてくれたから、そのお金もいずれ入るし、路頭に迷うということはない。


贅沢しなければ高校は余裕で卒業できるだろう。


大学も、奨学金制度を利用すれば、何とか通えると思う。



でも……。


お母ちゃんの体を犠牲にして、命と引き換えにして、得るお金……。


それを使って生活することを考えると、この胸の奥がキリキリと痛む。



だけど、それに頼らなければ、こんなちっぽけで何もできない私なんか、すぐに生きていけなくなる。


私が生きることを諦めたら、きっとお母ちゃんは大激怒だろうな。
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