いつか見る青
でも、あんまり生活の足しになるような金額ではなかった。


私はそれまで「お小遣い」というのはもらってなくて、お金が必要な時はその都度お母ちゃんからもらってた。


ほんとはバイト代は全部お母ちゃんに渡すつもりだったんだけど、後でもらってたら結局同じことだし「お金を管理する能力を養う為にも、自分の取り分を残しなさい」って言われた。


欲しいものがあったらそれで買えば良いし、もし使わないなら貯金しておけば良いし、葵の考え、責任で、その一万円を好きなように使いなさいって。


私はそんなに欲しい物って無かったから毎月結構お金が残って、携帯を買うくらいのお金なら貯まってたんだけど、でも、どうしても今必要なものとは思えなかったんだよね。


この先、突然お金が必要になることがあるかもしれないし、とりあえずは残しておいて、大学生になってもっと割の良いバイトができるようになってから買おうかなって思ってたんだ。


でも後から分かった事だけど、お母ちゃんは私が渡していたそのお金さえ、ほとんど手を付けず、私名義の通帳にこっり貯金しておいたのだった。
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