いつか見る青
丁寧にドアを閉めるその背中を見つめながら、やっぱ神崎さんて上流階級の人なんだな、としみじみ思った。


こういうの慣れてるんだろうなって。


レディーファーストっていうの?


エスコートがすごい自然だもん。


あ~でも、あと数時間で、いよいよおじいちゃんと対面するんだな。


きちんと挨拶できるかな。


……紫叔父さんとも、まだ言葉を交わしてないんだよね。


夕飯の時に色々お話してくれるかな。


おばあちゃんとは、いつ対面させてもらえるんだろ…。


嬉しいような、何だか怖いような。


うまく説明できない感情の狭間でユラユラと心が揺れる。


でも、ほんと、神崎さんが隣にいてくれるから、これくらいで済んでるんだよね。


この人がいてくれなかったら、きっともっとテンパって、オロオロしていたと思う。


神崎さんが私を迎えに来てくれて、本当に良かった。


まるで砂漠の中のオアシスみたいに、私に安心を与えてくれる。


神崎さんの優しい案内の声を聞きながら、私はその瞬間が訪れるのを、比較的穏やかな気持ちで待つことができたのであった。
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