いつか見る青
いつのまにかみどりお兄ちゃんが、僕たちの後ろに立っていた。


今日はお友達と映画を見に行ってたんだけど、もう帰って来たんだな


輪になって立っていたぼくたちの間をすり抜けて、お兄ちゃんがるりちゃんの真下まで急いでかけ寄る。


それまで生き生きとした表情で枝の上に立っていたるりちゃんは、急に顔を真っ赤にしておとなしく木を降りはじめたんだ。


ぼくたちがあれだけ止めても全然聞かなかったのに…。


ホッとした気持ちと、何だか胸のところをギュッと誰かにつかまれたみたいな、嫌な気持ちがこみあげて来て、ぼくは二人に背を向けた。


変なの、と思いながら足元に転がる石をコンッてけった時、みんなが「キャッ」とか「わっ」とかいう声が聞こえてきた。


ザザッて音もしたから、きっとるりちゃんが足を滑らせたんだ。


あわてて振り向くと、るりちゃんはお兄ちゃんの腕の中にいた。


「馬鹿!だから危ないって言っただろ!」


「…すみません…」


「まったく、頼むから心配させないでくれよ…」


またさっきの変な気持ちがぶりかえして来て、ぼくはその場から離れた。


みんなも何となくぼくの後を付いて来る。
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