いつか見る青
「みどりお兄ちゃんて、カッコいいよね~」


ゆかちゃんがうっとりとしながら言った。


「頭も良いし運動神経も抜群だし。町内会の運動会で、いつもかけっこ一番だったもんね」


「でも、最近は走ってないよ?」


「そりゃ~、大学生になったらもうそういうのは参加しないわよ。でも、絶対今だって速いはずだもん」


とおる君の言葉に、ゆかちゃんはちょっとムキになって答えた。


「婚約者の人は良いな~。あんなカッコいい人捕まえちゃってさっ」


ゆかちゃんは本当にうらやましそうな顔をしている。


「でも、良いんだもん。私だって、絶対お兄ちゃんみたいな人見つけて、お嫁さんにしてもらうんだから」


みんなはまた羽根つきで遊び始めた。


でもぼくは何だかもう疲れちゃって、テラスのいすに座って休むことにしたんだ。


民さんはもう中に引っ込んだ。


るりちゃんとお兄ちゃんはお庭の向こうにある玄関の方に歩いて行く。


お互いがお互いの顔を、幸せそうに見つめながら。


さっきまではすごく楽しかったのに。


ぼくは何だかつまらなくなっちゃって、早く終わらないかな、って思いながら、みんなが楽しそうに遊ぶ姿を、ぼ~っと見つめていた。
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