いつか見る青
第三章
葵
「はじめまして…。大音葵です」
「ああ。良く来たな、あおい」
その瞬間はあっけなく過ぎ去った。
16年以上、一度も会ったことのなかった祖父と孫娘の初対面だというのに、やけに淡々とした挨拶になってしまって…。
すごくドラマチックなものを想像してたんだけど、このよそよそしい緊張感は受験の時に担当の先生と面接した時のそれに似ている。
あのあと、神崎さんは屋敷内を案内してくれて、最後に居間に落ち着き、用意してあったポットで私に紅茶をいれてくれた。
神崎さんだってお客さんなのに『こんなことやってもらっちゃって良いのかな』と思ったけど、そんな私の心の声が届いたのか、彼はにこやかに解説した。
「私は勝手知ったる何とやら、ですから。葵さんと自由にくつろいでいて下さいと、民さんに頼まれているんですよ」
……そう。
神崎さんは、民さんに頼まれて私の面倒を見てくれていたようだ。
民さん、この時間帯は色々と忙しいだろうしな~。
この広い屋敷内で、一人で家事を取り仕切っているんだもんね。
「ああ。良く来たな、あおい」
その瞬間はあっけなく過ぎ去った。
16年以上、一度も会ったことのなかった祖父と孫娘の初対面だというのに、やけに淡々とした挨拶になってしまって…。
すごくドラマチックなものを想像してたんだけど、このよそよそしい緊張感は受験の時に担当の先生と面接した時のそれに似ている。
あのあと、神崎さんは屋敷内を案内してくれて、最後に居間に落ち着き、用意してあったポットで私に紅茶をいれてくれた。
神崎さんだってお客さんなのに『こんなことやってもらっちゃって良いのかな』と思ったけど、そんな私の心の声が届いたのか、彼はにこやかに解説した。
「私は勝手知ったる何とやら、ですから。葵さんと自由にくつろいでいて下さいと、民さんに頼まれているんですよ」
……そう。
神崎さんは、民さんに頼まれて私の面倒を見てくれていたようだ。
民さん、この時間帯は色々と忙しいだろうしな~。
この広い屋敷内で、一人で家事を取り仕切っているんだもんね。