僕と鍵とお姫様
(何なんだろう、この鍵…。)


いまだ、ポケットに入れられたままの鍵の形を手で確かめながら、ふと思った。


(そういえば、なんで先輩は明日体育が、しかも陸上があるって分かったんだろう。)


先輩に僕の用事を話した覚えはない。
先輩が時間割(しかも、自分以外のだ。)を把握しているとは、到底思えない。


…だとしたら、何故?


『………。』


ま、いいか。


知ってたから知ってたんだ。


深く考える必要なんてないんだ。


それより、早く家に帰ろう。


お腹すいたし。


そういう結論を出した僕は、靴をとってすぐ帰宅した。


レナ先輩から貰った鍵を、たいして気にすることもなく。





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