僕と鍵とお姫様
体育教官室には着いたものの、やはりそこに部室の鍵はなく。


(仕方ない、もう一度ここから部室までの道を探してみよう…)


真剣に、目を凝らして鍵を捜しながら歩いていると、


「あれ、ハグ?」


と声をかけられた。


『わ!レナ先輩…!』


レナ先輩とは、本名、小池怜奈。(あまりあだ名が変わらないのは、分かる人は分かる、某人気漫画を連想してくれればいい。)


実は、僕は密かにレナ先輩に想いをよせていたりする。


容姿端麗、成績優秀、おまけに性格も(ある意味)文句なしの良さとくる。


そんな先輩を好きにならずにいられるか?
いや、いられるはずがない。


でも、そんなことは今はどうだっていい。(僕にとっては十分、重要なことが。)


鍵だ、クラブハウスの前に先輩がいるということは、先輩も鍵が必要ということで…


(マズイ、非常にマズ…)
『って、あれ、え!?』


僕は先輩の手にある物を見て思わず声をあげてしまった。


「?、どうしたの、そんな変な声出して。」


クスクスと先輩は笑っているが、僕としてはそれどころじゃなかった。


『か、鍵!』


「鍵がどうかした?」


『や、先輩いつからその鍵持ってましたか?』


「うーん、だいぶ前?部室に来たのが…30分くらい前かな?もしかして、捜してた?」


これ、と言って部室の鍵を僕の顔の前に差し出した。


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