××倶楽部
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────ピンポーンとチャイムを鳴らして、応答があるのを待つ。紫と黄色のパンジーを指でツンと突っついた。
はーい、と返事があって扉が開く。
「あら、芽依ちゃん。いらっしゃい。聖夜ならもう出勤したわよ」
ベロアの黒いジャージの上下は明らかに男物で、多分社長のジャージを借りてるんだろう。
「あ、いえ。リオ様のお見舞いに来たんです。お身体の具合いかがですか?」
出勤途中の果物屋さんで買ってきた苺を顔の脇まで持ち上げてみせた。
「まあ、ありがとう。よかったらあがって」
「はい」
リオ様は嬉しそうに手を合わせると、まるで自分の部屋のように私を招き入れた。グレーのスリッパを、どうぞー、と出されて、すみません、とつっかけた。
「もう熱も下がったし、食欲もあるんだけどね。聖夜があと何日か休めって言うから、今日も休むわ。でも、心配しないで、もう元気だから」
「ああ、よかったです。お客様からもリオ様のことで問い合わせ殺到してましたよ。お見舞いの品で事務所が埋まっちゃいそうでしたよ」