××倶楽部
「彼女は違いますよ、僕の連れです」と、社長に肩を抱かれて私は一気に幸せの頂点に上りつめた。
「社長……あーっ!!」
社長の腕の中で、うっとり天国を堪能しようとしていたら、奥の部屋からひょこっと顔を覗かせたハヅキ様と目があった。
「社長! ハヅキ様みつけましたよ!」
社長は、ハヅキさん……と呟いて、逃げようとした彼女を追いかけて店の奥に駆け出した。私も急いで社長を追いかける。ブラックスーツの人も、話途中だ聖夜ぁ! と雄叫びをあげながら追いかけてきた。
「ハヅキさん待ってください! なんで逃げるんですかっ! 僕とのことは遊びだったんですか!」
社長は周囲に多大な誤解を招くような発言をしながら、小さなハヅキさんを捕まえると、彼女を大切に抱きしめて壁に押し付ける。
「ハヅキさん……良かった、無事で」
耳元で甘く囁かれたハヅキさんは、ごめんなさい、と目の縁を赤くさせた。
社長は大切そうにハヅキさんの頭を撫でた。
ズキンと心が痛む。また、そうやって誰にでも…………
「さあ、訳をはなしてもらいましょうか。一度マーベラスに帰りましょう」
「だめ、それはできないの……マサキを一人にできなくて……」