××倶楽部
満席とまではいかなくても、それなりに賑わっていたホストクラブ中の視線が社長とハヅキさんに突き刺さる。
「てめぇ、誰だよ? ああ?」
するとホストの一人が、社長の肩を掴んだ。大柄な人で、二つに分けた髪には緩いパーマがかかっている。それなりにかっこいい部類に入るけど、外見はいかにもホストといったかんじて軽そうにみえてしまう。
「あ!」
その人が多分、ハヅキ様の彼だ。社長に手を振りかざすと社長は彼の右腕を避けた。
ああ、危なかった……殴られちゃったらどうしようかと思った。
「マサキ、乱暴しないで……マーベラスの社長さんよ」
「こいつが……でもお前マーベラスは辞めるんだろ?」
「辞めるって、ど、ど、どういうことですかぁーっ? ハヅキさんは僕という男がいて、まさかホストクラブで働くとか言うんじゃないですよね?」
マサキさんが、テメー! と社長に殴りかかり、ハヅキ様がそれを止めて、一部始終を見ていたこの店の人が「いい加減にしろ!」と三人に怒鳴った。