××倶楽部
それからの話を要約すると、つまり……
三百万を手にしたマサキさんは、それ増やそうと向かったラスベガスのカジノで散財してしまったらしい。無一文になった彼はハヅキ様のもとに戻り、和解した二人はもう一度よりを戻すことになったらしい。
彼が情緒不安定で心配なところがあるから、ハヅキ様はマーベラスを辞めて、このホストクラブのスタッフとして働こうと決めたんだけど……マサキさんが迎えに来てくれたことが嬉しすぎてついうっかり無断欠勤してしまったのが申し訳なくて、音信不通になっていた。という。
「……て、わけですか?」
ホストクラブのスタッフルームでハヅキ様は、うん、と頷いた。
さっき雄叫びをあげながら登場した人は、この店のオーナーさんらしい。
「でも、オーナー。二重契約は風俗経営のルール違反です」
社長がオーナーさんを睨みつけて抗議する。でも社長が睨みつけても、全然怖くない。普段から物腰が穏やかだからだよね。これで風俗店を経営していけるんだから、よっぽど人徳があるんだよね。
「知らなかったんだよ! ごめん、聖夜」
二人は昔ながらの知り合いらしく、社長が冷たい態度をしても、オーナーさんは手をすり合わせで苦笑いするだけだ。
それにオーナーさんは、どうしても社長をこの店のホストにしたいらしくて、隙があれば社長に「でもさ、ホストやらない?」と言って、社長は「やりません!」と跳ね返す。