××倶楽部

 世の中他人のことなんて興味がないって人もたくさんいるのに、このマーベラスに来てからそうでもないかなぁと思ってしまう。


 社長は、ここで働いてる人たち皆を家族みたいに大切にしているし、リオ様も口ではこう言ってるけど、結局社長の行動を評価してるんだ。



「ねえ、聖夜。マサキくんを、うちのボディガードで雇えばいいじゃない。ボディガード探してたんでしょ? この前スミレちゃんが変な男に後つけられたって言ってたし」


 社長は自分の説教に疲れ果てたのか顔を赤くさせたままで、それいいですね、と頷いた。



「マサキさん、そのかわり契約は一年です。もし本当にやる気があるなら一年で資金貯めてハヅキさんと二人でその先の未来を真剣に考えてくれますか?」


「考えてるよ……何も考えてないわけじゃないんですけど運がなかっただけで……。働かせてくれんなら、ここで働こうかなぁ……百万は返せないけど」


 優柔不断そうなマサキさんの言い方だけど、ハヅキさんは嬉しそうに涙ぐんだ。


「マサキ! ホスト辞めてくれるの? それなら私も女王様辞めて普通のバイトするよ! ねえ、聖夜さん、それでもいい?」


「もちろんですよ。あのホストクラブで働かれるよりはマシです。ただ、ハヅキさん、お客様にはちゃんと謝罪してくださいね? ハヅキさんのことを待ってくださっている方もいますから」


「はい!」


 ハヅキさんとマサキさんは正座したまま肩を寄せ合った。問題は良い方向に解決したらしい。



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